いいことを言う人は行動ができない。
例えば、捕鯨について反対している人が、クジラは愛らしい動物で保護しなければ
いけないとSNSなどで発信したとしよう。しかし、実際に船を出して、助けに向かう
人はほとんどいない。多くの人はSNSでよい発言をしてことに気を良くして満足
している。この行動は認知バイアスの一種でモラル・ライセンシング効果と呼ばれる。
善意の行為をした後、その発言や行動に満足してしまう。そして、周りからも
高評価を得たと確信して、善意の行為をやめてしまう。さらに、その後の
自分の行動は甘くなってしまう。
つまり、いいことをしたら、自分にはご褒美を与えてより気分を良くしようと
するものである。
道徳的な指導者や活動家の多くが、人に説いたことを自分で実践するのに
苦労しているのも、これで説明がつく。
私自身もブログでは、自己成長を謳っているが、実際に行動できているものが
少ないと実感しているのも、この効果によるものだと思う。
20世紀入ったころ、慈善活動を啓蒙しようとブランド各社がリボンやアクセサリー、
バックなどを販売した。慈善活動に興味のある人が買ってくれたが、結局、
買ったこと自体で満足してしまい、その年の寄付金額は減少した。
人間は個人主義を好むが、集団からはずれてしまうことを極度に怯える性格がある。
ホモサピエンスが誕生したころは、集落から追い出されることは死を意味した。
その恐怖は遺伝子に刻まれ、我々にも引き継がれている。社会的に周りの
評価を得たいのは、円満に生きるための秘訣なのだろう。
思考には2種類あり、直感のように素早く反応してくるタイプと、熟考のように
遅れてくるタイプである。時に我々は考え込むあまり、何も行動できなくなって
しまう。人間はリスクを嫌うため、損失を回避しようとあれこれ考えるが、
結論がでず行動できない。何もしないのが一番だと脳が判断してしまうからだ。
そのため転職に踏み切れなかったり、結婚を諦めてしまったりする。
しっかり考えて行動することも大事だが、もっと重要なのは直感的にまず行動を
起こすことである。行動すれば、それに対して周りの評価もついてくる。
また恐れてることの97%は起こらないという研究結果もでている。
恐れずに飛び込むことも成功へと繋がる近道である。
口先だけの人にならないように、毎日行動しよう。
それが最も善良な行動になっていくだろう。