民主主義は多数決で物事を決定します。
多数派はより多くの人が恩恵を得られるため、少数派よりメリットがあります。
しかし、多数決の潔白さを多くの人が認知しているにも関わらず、世の中を
決定しているのは少数派なのです。
例えば、会社において方針を決定するのは全社員の多数決ではなく、上層部の一部
のみで決めます。この方が迅速に物事を判断でき、問題にも素早く対応できる
からです。
またファッション界も一部の人間によって、その年の流行が決定され、全世界に
広まります。そのため、どのお店でも似たような物が溢れます。
信念や宗教の関係で肉を食べない人や、豚や牛など特定のものを食べない人がいます。
これは世界的にごく少数の人間です。しかし、我々がよく行く飲食店では、
肉を使わない料理や、特定の宗教向けの食事を見ることも珍しくありません。
つまり、飲食店のメニューは少数派が決定しているといっても過言ではないのです。
経済においても、中央銀行の一部の人間が金利を決定し、それが多くの人に影響を
与えます。これも少数派決定の例に当たるでしょう。
我々は多数決が正しいと頭の中で理解しているつもりでも、知らず知らずの内に
少数派決定の矛盾を受け入れています。しかし、これは人間の数が多くなり過ぎた
故に合理的になった結果ではないでしょうか。
100人くらいの集落であれば、多数決の方が合理的です。人口が急激に増え
何千万、何億の単位になってくると、多数決をまとめるのが困難になり、かえって
不具合が生じます。人間はある一定の数を超えるとバラバラになってしまうため、
それをまとめるために国家や宗教が誕生しました。
自然においては多数派が優位になるため、我々の少数派決定論は自然の摂理に
反することになります。つまり、社会において矛盾が生じ、そのほころびが
差別や戦争などの問題に発展しているのです。
その矛盾がある限り、平和な世の中は遠いのではないでしょうか。
我々人類にできることは多様性を認め、受け入れる広い心を持つことです。
すべての人類が寛容であるとき、多数派、少数派の垣根を超えた、新しい
集団が誕生し、争いのない平和は世の中になることでしょう。
一人ひとりの気持ちが明るい未来へ繋がる重要なカギになります。
まずは、周りの人を自分と同じ人間だと認めることから始めましょう。