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認知症の老人はアスリートなのか!

老人の徘徊が社会問題になっています。

家族が目を離した途端、勝手に出掛けてしまい、行方不明になります。

人によっては20Km離れたところで発見された事例もあります。

 

なぜ、こんなことが起こるのでしょう?

 

ひとつの原因が認知症です。

認知症とは脳の萎縮によって脳が正常に働いていない状態です。

昔はボケとも言っていました。

老化が進むと筋肉は減り、内臓器官も衰えていきます。

脳も例外ではありません。

脳の中でも特に萎縮が激しいのが前頭前野と言われる理性を司る部位です。

本能を司る扁桃体などは、そこまで萎縮しないため、老化が進むと

本能が剥き出しの状態になってしまうのです。

 

つまり、理性の押さえが効かないため、感情的になったり、思考が停止して

動物的な行動が多くなります。理性は人間が人間らしくいるために重要です。

 

しかし、ここでひとつの疑問が浮かんできます。

理性というリミッターが解除されたとは言え、筋肉が衰えてきてる人が

なぜ、こんなに動き回れるのでしょうか?

 

それを解明する手掛かりになるのが、旧石器時代からの進化を辿る

人類学です。

 

我々の祖先は木の上からの生活から、広いサバンナの草原に活動を

移していきます。その際、二足歩行になり、広い視野を手に入れます。

体毛は薄くなり、汗をかくことによって体温調整が可能になります。

これによって、旧人類は長い距離を歩くことができるようになります。

 

他のチンパンジーやゴリラなどの類人猿と比べると、力は劣るけれど、

持久力は凄まじく進化しました。獲物を長い間、追いかけることが可能になり、

狩りを成功率が格段に上がりました。

現代でも、狩猟生活をしている原住民は一日は何十Kmも歩いて狩りをしています。

歩くことは人間にとって呼吸をするように当たり前のことなのです。

 

つまり、我々の祖先から受け継がれた遺伝子が、我々を歩かせるのです。

普段の生活では、その遺伝子は見ることができませんが、

理性というリミッターが破壊された場合、その遺伝子が剥き出しになり、

我々を旧人類へと変貌させるのです。

徘徊老人はアスリート並の超人を思われていますが、すべての人間に

備わった能力と言ってもいいでしょう。普段は理性というベールに

隠れて見えないだけです。

 

とは言っても、実際に認知症で徘徊してしまっては家族も困ります。

 

認知症の予防には、やはり歩くことです。運動することで、脳の萎縮が

遅らせることができると脳科学的に証明されています。

定期的に運動することによって、最後まで人間らしく生きることを目指しましょう。

 

やはり、歩くことは本能であり、必要不可欠なことです。

毎日少しでも歩くことを習慣にしましょう。