有心の百錬、鋼を成す!

常に自分の成長を目指して!

カメラは今この瞬間を生きるためのツール

私はカメラを趣味として、春や秋は京都に出掛けて写真を撮っています。

カメラは学生の頃から撮るのが好きで、その頃はお金もなくコンパクト

デジカメで撮るのが精一杯でした。就職したときに、一眼レフのデジカメが

出始め、有り金を費やして、買った記憶があります。

その時から、カメラ本体、いいレンズにこだわり、性能ばかりを

追い求めることに奔走していました。

いつの間にか、写真を撮る楽しみより、収集家になっていたのかもしれません。

今思えば、勿体ないことしたという気持ちで一杯です。

宇治 三室戸寺



最近になってフィルムカメラにはまり、マニュアルのカメラでの

撮影が楽しくなりました。銀塩フィルムの発色はよく、雰囲気のある

写真がたまらなくいい味を出してくれるため大好きです。

今のカメラ業界は如何に綺麗な映像を作るかや、キレキレのシャープな

レンズを作ることばかり、捕らわれ過ぎて疲れてしまいます。

写真は少しくらいボケていても、雰囲気がよく思い出に残れば

いつまでも心に残る、いい写真だと思います。

 

ただ、フィルムが面倒なのは、現像をお店に出さないといけないことです。

行きつけのカメラ屋さんが高齢で店を閉めてしまったため、

自分の中のフィルムカメラブームが終わりを迎えます。

 

しかし、マニュアル操作の楽しみは残したくて、今は富士フィルム

XーT30にオートフォーカスのない、オールドレンズを使っています。

F値シャッタースピードも自分で設定し、マニュアルモードで撮影すると

今まで如何に考えず、写真を撮っていたのかと思い知らされます。

オートフォーカスで連写していたのを思えば、設定だけでも、もたついて

時間がかかります。

 

少し前の記事にアリストテレスの運動の種類について書いたこともありますが、

運動には始点終点のある「キーネーシス」とダンスのように始点終点に関係なく

途中経過を楽しむ「エネルゲイア」に分類されます。

そこで記述したように、人生はエネルゲイアの動きで、終点に向かって

ダッシュするのではなく、途中を楽しみながら、今を生きることです。

 

カメラも同じように焦って撮ってばかりいては、人生と同じように

疲れてしまいます。一呼吸おいて、ゆっくり設定し、レンズを通して

今と向き合うのです。今この瞬間を生きていることを実感すれば、

自然や被写体と一体になる感覚があるはずです。

そう考えるとカメラも武道や茶道と同じような禅に通じる道があり、

カメラ道なるものがあってもいいと思います。

 

便利になる一方の現代において、面倒なマニュアル操作で、

ゆっくりとした時間を過ごすのも、味のある生き方かもしれません。

それを楽しみめる人こそ、満足度の高い、豊かな人生を送れるのです。

生き急ぐ生き方より、格好いい生き方をしてみませんか。

紅葉