どの雑誌や本をみても、効率や時短が特集され、これらができないのは
人生損をしていると書かれています。
では、はたしてコスパ、タイパは本当に重要なのでしょうか?
確かに最近は無駄なことが多いため、手順を省いたり、まとめたりすることは
大切なことです。仕事もシンプルにした方が、誰がやっても同じ成果が期待できます。
逆に、複雑な方法は個人差が大きくトラブルの原因にもなります。
しかし、コスパ、タイパを追求し過ぎると今度は人生がつまらないものに
なってくる可能性があります。
古代ギリシャの哲学者、アリストテレスは運動の種類について論じます。
一つ目は始点と終点がある「キーネーシス」という動きです。
例えば、東京、大阪間の移動がキーネーシスにあたり、効率が大切。
新幹線のこだまで行くよりは、のぞみを使う人がほとんどでしょう。
もう一つは始点も終点もない「エネルゲイア」で過程そのものを
結果とみなす動きです。
例えるなら、ダンス。踊っているときの一瞬一瞬が本番で、その連続が
楽しみでもあります。効率は問題ではありません。
人生の動きはエネルゲイアの動きです。しかし、コスパ、タイパを重要視して
しまうと、キーネーシスの動きが考え方を占めていきます。
つまり、人生においてキーネーシスとは、すぐに死ぬことになってしまい、
おかしなことになってしまいます。
エネルゲイアの動きを思い描きながら、仕事や家事を行うと
途中の経過すら楽しめるかもしれません。人生に無駄なことはいりませんが、
楽しまなければ人生損です。
効率や時短ばかりに気を取られがちですが、途中経過を楽しむ余裕を作るのも
人生を楽しむ秘訣かもしれません。