教育に関して「叱って育てるか」、「ほめて育てるか」分かれるところです。
どちらの方法も、それぞれ支持者がいて議論は白熱します。
しかし、アドラーの心理学では「叱ってはいけない」「ほめてもいけない」という
立場を取ります。
納得できない人も多いと思うので順番に説明していきましょう。
アドラーの理想は上下の人間関係ではなく、横のつながりを重視します。
つまり、人間はそれぞれ違う人間であることを互いに認め、
人間として対等の関係であるということです。
先生と生徒、上司と部下に関しても同じで、年上を敬いはするが、
人間としては対等なので、互いに意見をいうことは当たり前なのです。
それを踏まえると叱るという行為は明らかに上下関係になり、
言われたほうは、自尊心を傷つけられ、やる気をなくしていきます。
そして、何か言われるたびに、萎縮してパフォーマンスは落ちていきます。
では、ほめるという行為はどうでしょう?
多くの人がほめる行為なら問題ないと思っていますが、アドラーは許しません。
ほめるという行為にも上下関係ができるからです。
能力のある人が、能力のない人に下す評価がほめるという行為なのです。
例えば、子供が皿洗いのお手伝いをしてくれた場合に、ほめることはあっても
夫が同じことをして、「えらいね」とは言わないでしょう。
人が他者をほめるとき、目的は自分より能力を劣る相手を操作することです。
叱る、ほめるは、あめを使うかムチを使うかの違いで、どちらも相手を操作して
意図的に操ることです。
それは人間を対等として扱っていないことになり、自然の法則に逆らうことになり
無理が生じます。やがて、お互いに精神が病んできます。
人間の悩みのほとんどは、人間関係です。
相手の評価や目線を気にしている状態では、心労ばかり増えていきます。
相手の違いを認め、尊重し、奉仕を精神で向き合えば、
自分の心は落ち着きを取り戻し、幸せになっていきます。
まずは相手のために何ができるを考えてみましょう。