春は年度が変わるため、進学や就職などで新しい環境になる人も
多いと思います。この季節は温かい陽気とは裏腹に新しい環境に対する
不安や緊張からネガティブな感情が多い時期でもあります。
学校では「どんな先生になるのか」「新しい友達はできるのか」といった
心配事が尽きません。職場においても同様です。
多くの人はネガティブな感情に嫌悪感を抱き、「こんなものなくなればいいのに」
と全否定します。本来必要のないものであれば、長い進化の過程で淘汰されて
きたに違いありません。現在でも残っているのは必要なものだけです。
ネガティブな感情は我々に警戒心を与えることによって、サバイバルな世界で
生き残る術を与えてくれるのです。祖先はサバンナやジャングルで猛獣や
毒蛇、毒キノコといった生死に関わるものと隣同士でした。ポジティブな
感情だけでは生き残るのは難しかったことでしょう。
警戒心はアドレナリンなどの神経物質を出すように脳に命令を出し、
すぐに戦ったり、逃げたりすることができたのです。
現代ではその対象が猛獣から仕事や人間関係に移行したに過ぎません。
現代社会でもポジティブな感情だけでは生きることが難しく、
ポジティブとネガティブが3:1がいいと言われます。
ネガティブがなくてはポジティブが感じられません。
気持ちが沈むことがあるからこそ、楽しみや喜びが大きくなるのです。
ポジティブだけの人生はたとえるなら、麻薬中毒者と同じです。
それより人間らしく生きたいのは人間の本能でしょう。
またネガティブな感情を抱くときは、自分が未熟なときです。「苦手な仕事を
しないといけないとき」「苦手な人に対応しなくてはいけないとき」など。
自分の体が自分に必要なものを教えてくれているのです。
苦手なものを認めて、向き合うことによってネガティブな感情は和らいでいきます。
ー30度の極寒では死を覚悟しますが、5度くらいなら寒くても耐えられます。
むしろ心地いいくらいではないでしょうか。ネガティブも同じように
失くすのは無理でも、程度を低くすることはできます。
ポジティブもネガティブも急に出現したものではなく、太古から一緒に生きて
我々を助けてくれる頼もしい相棒なのです。
まずは自分の感情を認めて理解することです。
わかってくると、次第に自分の体がどうしたいのかが見えてくるので、
感情をコントロールできるようになります。自分自身を正確にコントロール
できるようになれば、生きるのが楽しくなるはずです。
さぁ、嫌な感情から目を背けずに、向き合いましょう。
きっと世界が違って見えてくることでしょう。