世界中のギャンブラーたちにとって聖地とも呼ばれるのは、ラスベガスをはじめとする
カジノではないでしょうか? 日本でも大阪にIR施設を建設する準備が進められ
本格的なカジノが導入されるようです。ギャンブル依存症の増加や治安の悪化が
懸念されています。しかし、カジノはただの賭博場ではなく、各所に認知バイアス
という科学的根拠を散りばめた最新鋭の施設なのです。
認知バイアスとは、人間の先入観や勘違いが引き起こす行動のことです。
いつも同じブランドの物を買ってしまう。繁盛して行列ができているレストランに
並んでしまう。スーパーのレジ前に積み上げられたお菓子を買ってしまう。
このような無意識の行動は認知バイアスによって説明ができ、我々の行動は
誰かによって誘導されてるのです。
カジノの外観は荘厳に作られネオンも鮮やかです。高級感もあり建物に入る前から
非日常の風景に心躍ります。「勝って大金持ちになるぞ」という気分に
させてくれます。
そして、まず初めに現金をチップに変えます。このときにも認知バイアスが
働きます。現金を持ち歩くリスクを減らす目的もありますが、プラスチックの
チップを使ったほうが、現金を使うときに比べ、負けたときの心理的な負担が
少なくなります。負けてもゲーム感覚なのです。
また長く留まってもらうために、カーペットの毛足は長めになっていて、ゆっくり
しか歩けないようになっています。さらに、緊張で過呼吸になりにくいように
建物内の酸素濃度が高めに設定されています。
何度もリピートしてほしいので、建物内は迷路のような構造になっていて、
何日滞在しても飽きない、慣れないようになっています。
各地に散りばめられているスロットマシーンは少額の当たりが出やすいように
なっているため、他の客を見たときにみんな儲かっているように見えてしまいます。
時間を忘れて楽しんでもらうために、館内に時計は設置していません。あるのは
ショーケースに入った販売用のスイス製の高級時計だけです。これは大儲けした客が
まだ高揚感が高ぶっている間に、お金を落とすという仕組みになっています。
お酒も飲み放題です。これも気分の高揚に一役かっています。
この一部の例でもわかるように科学的な根拠で我々の行動を操り、理性を崩壊させて
いきます。認知バイアスによって、知らず知らずのうちに行動を制限されるので
恐ろしいものです。
賭け事は基本、胴元が勝つように設計されているので、個人が勝ち続けるには
限度があります。「カジノで負けないためには、一刻も早く出口へ急ぐことである」
と言われるように、やらないことが一番です。優雅な一時を過ごすためなら、
限度額を決めて楽しみましょう。決してのめり込まないように。
待っているのは破産だけですよ。