有心の百錬、鋼を成す!

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美しい冬の物語

木枯らしが吹き、寒さが身に染みる季節になってきました。

日本海側では雪が降り積り、やっと本格的な冬がやってきた感じがします。

街はイルミネーションで煌びやかに光り輝き、行き交う人々の足取りも

早くなり、賑やかで楽しそうな声が聞こえてきます。

そこは別世界のようです。

 

この季節になるとギリシャ神話に登場するペルセポネのお話を思い出します。

 

 

 冥界の王であるハデスは冥界での仕事に追われていました。

暗い場所で永遠のような時の中を過ごし、心を開く相手もいません。

ある時、ハデスは地上を恋しく思い、こっそり覗きに行きます。

そこで見たものは、言葉にできないくらい美しい女神でした。

彼女の名前はコレーといい、オリンポス12神のひとり、豊穣の女神デルメルの

娘です。

完全に一目ぼれをしたハデスはゼウスに会いに行き、コレーを妻に迎えたいと

相談します。ゼウスからすれば、兄でもあり、世界を地上、海、冥界と

3つに分けた一角を担っているハデスの相談にのらないわけにはいけません。

早速、母親であるデルメルの元に出向きますが、結果は猛反対にあいます。

ゼウスもなんとか説得しようとしましたが、首を縦には振りません。

仕方なくハデスはデルメルの許可なく勝手にコレーを冥界の王妃として

迎え入れます。このとき、コレーという名前は冥界の妃として相応しくないとして

ペルセポネという名前を与えます。

 

冥界の王として恐れられていたハデスですが、性格は礼儀正しく実直で

純粋な心を持っていました。連れて来られた当初はペルセポネも心を閉ざして

いましたが、次第に心を開き、ハデスに惹かれていきます。

 

その頃地上では、娘を連れ去られた豊穣の神デルメルが怒り狂い

仕事を放棄します。地上の植物や木々は枯れ果てます。

これに困ったゼウスはペルセポネを返してもらうようにハデスに

相談をします。ゼウスの熱心な願いにハデスはペルセポネを返すことを決意します。

 

最後の別れ際、ハデスはペルセポネに次のお願いをします。

「このザクロの実を4粒だけ食べてほしい」

ハデスに心を寄せていたペルセポネは快く承諾し食べます。

こうしてペルセポネは母デルメルの待つ地上に帰るのですが、

このザクロには特別な意味がありました。

冥界で食事をすると地上には帰れないという掟があったのです。

しかし、ザクロの実が食事に含まれないことが幸いし、12ヵ月の内4ヵ月だけ

冥界で過ごすことになります。

娘のいない4ヵ月は豊穣の神デルメルは悲しみで仕事をしないため、

冬という季節ができたというお話です。

 

昔は科学が発達していなかったため、季節や天気など人間の人智を超えた

ものは神の仕業としいて認知されました。説明ができなかったからです。

しかし、説明ができなかったとしても、ギリシャ神話のような美しい

物語を語ることの方が情緒溢れ、人間を豊かにするものだと思います。

 

近代社会は何でも数学を適応し数字で人々の心を捉えにきます。

例えば、冬は地球の地軸の傾きが何度で、太陽からの距離が何キロのときの

気温が何度以下であるなど。

確かに数字はわかりやすいですが、無機質な感じがします。

これでは人々の心はどんどん貧しくなっていくようです。

時間もありますし、年末年始は、ゆっくり物語に浸るのはどうでしょうか?

心豊かになり、人間的に成長し、忙しい日常が一変するかもしれません。

季節が変わるように。