夢を実現させるためには、何が必要でしょう?
多くの人は「意志の力」「努力」などを上げるかもしれません。
しかし、ダイエットに挑戦したことのある人なら、共感してくれると思いますが、
頑張っても長続きしません。体重を減らすことは、死に直結することになるので、
本能がそれに「待った」をかけるのです。人間は常に本能>意志の鉄則がありますから
本能に逆らう行為は、無駄に終わることが大半です。
つまり、夢は意志や努力で叶えることは不可能なのです。
がっかりした人もいるかもしれませんが、逆に本能を利用すれば夢を叶えることも
可能になるはずです。それを可能にする脳のシステムがRASです。
RAS(Reticular Activating System)は脳幹にある「網様体」という神経の集まりで、
体の生命活動を維持する働きをします。
このシステムがなければ、我々は生きていくことができません。私たちが常に
眠ったり、目を覚ましたり、呼吸したり、心臓が一定のリズムで動くのも
このRASのおかげです。それだけではなく、行動しようとする意欲や性欲が
起きるのも、お腹が減って食事しようと思うのも、RASの働きがあるからなのです。
RASは脳に入るほとんどの情報(嗅覚だけは別)の中継地になっていて、入ってくる
情報をふるいにかけ、何に注意を向けさせるか、どれくらい関心を呼び起こすか、
どの情報をシャットアウトして脳に届かないようにするかを判断します。
脳は毎秒、4億ビットもの情報を処理していると考えられています。しかし、膨大な
データを意識下で扱ってしまうと意識が飛んでしまいます。そのため、99.999%の
情報はあなたの知らない間に処理されて、消えているのです。
つまり、我々はほとんどの情報を脳が勝手に判断して、必要なものしか拾い上げて
いません。
しかし、脳はその情報が必要であるかどうかや、それによってその人間が
喜ぶのか悲しむのかはわかりません。必要かどうかの判断はあなたが、
いつも頭の中でつぶやいている思考なのです。
ナポレオン・ヒルが1937年に「思考は現実化する」という本で、「頭の中で
考えたことを、心から信じることができれば、人はそれがどんなことでも
達成できる」と言いました。その当時はまだ脳科学が発達しておらず、
みんなは眉唾物だと疑っていました。今はCTや脳科学も発達してきて、
彼の言ったことは真実であることが科学的に証明されました。
RASは私たちが信じていること、考えていることだけに注意を集中し、信じると
決めた道に向かう情報を集め、それ以外を排除します。ある人にとってチャンスが
別の人にとってトラブルだと思ってしまうのは、このためです。
危機の「危」はトラブルの意味で、「機」はチャンスという意味です。
つまり、危機とはトラブルでもあるけれど、チャンスでもあるのです。
RASがチャンスをもたらしてくれるかは、考え方しだいです。
毎日朝から晩まで、身を粉にして働かなければお金を儲けることができないと
信じていれば、その信念を深める情報しか入ってこない。だから、それが
真実だと信じた人生を送ることになります。もし、苦労して働かなくてもお金が
儲かる方法があったとしても、RASはそんなチャンスをもたらす情報を
ふるい落としてしまうことでしょう。
RASはGPSと似ています。目的地を入力すれば、勝手に目的地まで案内してくれます。
同じように、目標や夢を設定するだけで、それに必要な情報を無意識に集め、
自分の体をそれに向けて行動させます。
RASをしっかり働かせるためには、しっかりとした目標や夢を書き出すことです。
自分の興味あること、やってみたいこと、好きなことを書き出しましょう。
多くの人が間違っているのは、どうやってそれを叶えるかを考えてしまうことです。
たとえば、10年後に一億の資産を作りたいという夢を掲げたとします。
どうやってお金を稼ぐかを考えてしまうため、方法がわからず途方に暮れて
しまうのです。
まずは何年後かに達成する目標を掲げる。これだけをおこないましょう。
そうすると、RASがお金を稼ぐ手段の情報を集めてきます。投資や不動産などの
情報が今まで以上に目に付くようになるはずです。次第にセミナーに参加
してみたくなったり、勉強するようになり、自然とお金が溜まる生活になって
いきます。それがRASの力なのです。
細かいことは考えず、まずは自分の欲望を書き出して、毎日見ましょう。
それだけで、脳は私たちを夢に向かって連れて行ってくれます。
一歩を踏み出さなければ、何も起こりません。まずは始めましょう。
あれこれ考えるのは、その後です。
もちろん信じるものは救われることでしょう。