好きなスポーツはありますか?
好きなチームはありますか?
野球やサッカーの試合を見ると熱狂的なファンの存在に圧倒されます。
好きなものがあるっていいことですよね。
私はあまり熱狂するものがないので、羨ましくさえ思えます。
しかし、ファンは何が好きで、そこまで熱狂するのでしょう?
しかも、強いチームならまだしも、弱小チームですら狂信者がいます。
この誰も気にしていないような謎を心理学的な観点から見ていきましょう。
まずは人が好きになるには、どのような条件が必要なのかです。
好きになる条件
1. 人は自分に好意を感じている知人に対して好きになります。
よく話しかけてくれたり、プレゼントをくれる人は他の人とは違う感じがします。
2. 身体的魅力がある人を好きになります。
こんな話をされると人間やめたくなる人もいるかもしれませんが、容姿が
端麗な人の方が、裁判で無罪になりやすかったり、雇用されやすく、
高い給料を得やすい。また、親切で、面白く、能力があるように思われやすい
傾向があるようです。身体的魅力はハロー効果が起きやすいのです。
(ハロー効果とは、ある人が望ましい特徴をひとつ持っていることによって
その人に対する他者の見方が大きく影響を受けることです)
3. 私たちは似たような人に好感を抱きやすい
同じ職業、出身地、同じ趣味など共通点がある人に親近感を感じます。
4. 褒めたり、賛辞してくれる人を好きになる
露骨なお世辞はイラっとしますが、人間褒められるのが大好きです。
良いことを言ってくれる人を無碍にはしません。
このような条件でみていくと、地元のチームは同じ出身地、または同じ地方と
いった類似性があります。また格好いいスター選手が所属していれば、
ハロー効果によって魅力が増します。たとえ弱小チームであろうと好意を
抱く可能性は十分にあるのです。
では、熱狂的なのはどう説明したらよいのでしょう?
実はファンのネガティブな心理要素が関係しています。
狂信者は応援しているチームが勝つと「俺たちが勝った。最強だ!」と叫びます。
決して「チームが勝った。このチームは最強だ」とは言いません。
逆に負けてしまうと「このチームの敗因は采配ミスだ」「選手が悪い」と言い
「俺たちが負けた」とは言いません。
これを分析すると、自分をチームに重ねているようなのです。
自分の人生がうまくいかない。悪いことばかり起こる。そんな悲観的な
人生から逃避している可能性があります。
つまり、ネガティブな人生から現実逃避して、チームに自分を重ねて
勝ったときは、自分が勝ったという、優越感を感じているのです。
だから、熱狂すればするほど、自分の人生とはかけ離れていきます。
試合が終わった途端に現実に戻り、ネガティブさに拍車がかかります。
貧しい国や人ほど、狂信者が多いのは、このためだったのです。
好きなものは自分の人生を豊かにします。
しかし、はまり過ぎるにも、考えもの。
仏教の中庸のように、人生ほどほどが一番楽に生きられるのかもしれませんよ。