アリストテレスは紀元前384~322まで生きた古代ギリシャの哲学者です。
アレキサンドロス大王の家庭教師もしていた天才です。
プラトンの創設した、今の大学の前身であるアカデメイアの生徒で
プラトンの弟子として一番優秀でした。
アリストテレスが哲学者として大成した理由は、心理や物事をよく観察し
本質を見抜こうとしたところです。
この観察眼で天文、気象、動物、植物、地球を対象に研究しました。
そして抽出した特徴を、体系的に分類し整理することで、世界を
把握しようとする自然科学を始めました。
現在に至る天文学、気象学、動物学、植物学、地学などの学問は
すべてアリストテレスから始まっており、彼が
万学の祖と言われている所以です。
ちなみにイルカは海に住んでいるが、子供に乳をあげていることから
魚ではなく哺乳類に分類するとしたのもアリストテレスです。
アリストテレスは自然学だけではなく、国家(政治体制)も
すぐれた観察眼で洞察しています。
彼の偉大なところは、どの政治体制が一番で優れているということは言わず、
「そもそもどんな政治体制がありえるのか?それぞれどんな特徴を持っているのか、
まず分析してみよう」と学問的な考えで取り組んだことです。
彼の分析により、君主制(一人の王様が支配)、貴族制(少数の特権階級が支配)
民主制(みんなで支配)の3つに分類しました。
直感的でわかりやすい分類です。それぞれの体制は支配者数が違うだけです。
さらに興味深いのは、これらのいいところだけ考えるのではなく、腐敗したら
どうなるかという、最悪のケースについても論じたことです。
君主制は優秀な君主が治めているうちは問題ないが、独裁者が実権を握ってしまうと
だれもそれを止めることができず、国はボロボロになってしまう。
貴族制は支配者が数人いるため、独裁にはなりにくいが、権力闘争が起きやすく
派閥争いにより、政治から離れてしまい、国はボロボロになってしまう。
民主制はみんなで支配するため、一番公平な判断が下されやすいメリットがある。
しかし、支配者であるみんなが政治に興味がなくなれば、煽動政治家の言いなりに
なってしまい、国はボロボロになってしまう。
さらにアリストテレスは政治が腐敗し国がボロボロになった後になにが起こるのか
思考を進めている。彼曰く、その先にあるのは革命という政治体制の交代劇であると。
アリストテレスはどんな政治体制であろうと最良を保つ努力をしなければ、
政治が腐敗し、必ず「革命」が起こり、別の政治体制の移行すると考えました。
そして彼の分析が正しかったことは歴史が証明しています。
彼の偉大さには見習うことが多くあります。
他からの情報に惑わされて生きたのでは、よく観察し、よく考え、自分の理論を
確立したため成功を収めたのです。過去の偉人に学ぶことは多いですね。