有心の百錬、鋼を成す!

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詐欺に騙されないためにはどうすればいいのか

「”私は大丈夫”が一番危ない」

これは詐欺被害防止を周知するお決まりのフレーズですが、いつまで経っても

詐欺がなくなりません。ニュースでも数千万ものお金をだまし取られる

投資詐欺のニュースをよく目にします。決まって高齢者がカモにされていることを

みると、心のどこかで「詐欺は高齢者や情報リテラシーの低い人が引っ掛かるもの」

と思い込んでいる人が多いのではないでしょうか?

しかし、実際には高齢者だけでなく、弁護士や医者などの高学歴の人たちも

被害にあっている現状があります。

つまり、いつ誰が被害にあってもおかしくないのです。

 

基本的に人間は他人を信じてしまう生き物なので、騙されない人間はいません。

その理由は人類の歴史を遡るとわかります。

そもそも人類が生き残って繁栄してきたのは、他者との共同生活を始めたからです。

人間は元来一人では生きられない生き物でしたが、集団行動することで効率的に

生き残る術を会得したと言われています。

例えば動物や他の部族などに襲われたとき、他者の目の動きで相手が

どちらに向かっているのかを判断して危険を回避するなど、他人の動作から

意図を汲み取る能力に長けています。

人間の白目部分が大きいのは、どちらを向いているかすぐわかるためでもありますし、

ミラーニューロンのように他者の行動や意図を真似する神経システムも持っています。

要は人間は他者に同調してコミュニケーションを図る生き物ゆえに、相手を信じやすく

騙されやすい性質を帯びているのです。

 

そもそも特殊詐欺において、知らない人間から「キャッシュカードが不正に利用されて

いる」「税金の未払いがある」といった嘘を吹き込まれて、お金を振り込んで

しまうのは、冷静に考えてみれば鈍感過ぎますよね。ただ、それは本人に備わっている

判断力が低いというよりも、詐欺を働く側が上手に判断力を鈍らせてくる戦法を

取っているためです。

少し前は「オレオレ詐欺」のように被害者と息子のような関係の詐欺が多かったの

ですが、最近は息子以外に息子の上司や弁護士、警察官などの登場人物も出現し

関係が複雑化しています。複数の人物が入れ替わり立ち替わり揺さぶりを掛けて

くることから「劇場型」と呼ばれています。

 

この劇場型詐欺は脳科学的にみても理にかなった手口なのです。

人間の脳にはワーキングメモリーと呼ばれる機能が備わっています。

この機能は端的に言えば、メモ帳のようなもので、少し前の出来事を記憶し、

そのメモを使って判断したり、行動したりするものです。電話番号を覚えて

電話をかけることができるのも、この機能のおかげなのです。

しかし、この機能には容量の限界があり、ひとつの作業をしていると他の作業が

できません。実際に電話番号を覚えてもらった後に、「富士山を逆から発音して

ください」といった無関係な作業をお願いすると、どちらも手付かずになって

しまう人が多いはずです。

このようにワーキングメモリーは大体3つくらいの事柄を同時並行するのが

限界と言われており、マルチタスクは人間には向かないのは、このためです。

さらにワーキングメモリーの空き容量が圧迫されることで、脳の判断力が低下して

しまいます。この圧迫させる原因には4つあります。

 

一つ目が「ストレスに弱い人」

マイナスの感情で脳がいっぱいになってしまうと、ワーキングメモリーも圧迫されて

しまいます。会社で嫌な事ばかり続いていたり、大勢の前でプレゼンしなければ

ならないときなど、誰にでも思い当たるフシがあるでしょう。

 

二つ目が「社会的に孤立している人」

普段から他者とのコミュニケーションが少ない人は、急に他人に声を掛けられた

だけで、耐性がない分ワーキングメモリーを消費しやすくなります。

 

三つ目が「共感性の高い人」

感情的になるほどドーパミンが過剰に分泌され、脳のメモリーを消費するだけでなく

他人の話を信じやすくなり、その分、情報を精査する能力に欠けてしまうと言えます。

 

四つ目が「衝動的な人」

自分勝手な行動を取ったり、相手の話を遮って喋ってしまったり、あいるはストレスや

不安からお酒やギャンブルなどで発散してしまう人が衝動性が高い人の証拠です。

 

こうした性質の人は普段からワーキングメモリーの働きが弱い傾向にあると検証

されています。先ほど医者や弁護士などの高学歴の人も騙されやすいといいましたが、

彼らの多くは行動力や判断力に長けていると言えます。しかし、それは衝動性が

高いとも言い換えられるので、一度決めたら周りを顧みずにどんどん騙される方向に

突き進んでしまう危険性があるからなのです。

 

では、騙されないためにはどうしたらよいのでしょう?

 

まずはこのワーキングメモリーを柔軟にする必要があります。

つまり、4つの原因を取り除き、精神を安定させるに限ります。

規則正しく生活し禁煙、過度の飲酒をやめる。毎日運動する習慣をつけ、

健康的な食事を心がける。趣味を楽しんでストレス発散するのもよいでしょう。

寝る前にマインドフルネスを行ったり、座禅なども精神を安定させるのに

効果的だと思います。健全な生活に健全な精神は宿ります。まず自分の生活習慣を

見直しましょう。

 

詐欺は人間の弱いところを攻めてきます。完全な人はいないので、必ず隙があります。

誰でも騙される可能性があることを自覚し、何かあっても自分ひとりで抱え込まず、

家族や友人に相談することです。最初に人間はひとりで生きていけないと

言いましたが、それは現代でも変わりません。家族や仲間と力を合わせることで

人類は生き延びてきました。その原点に戻って、みんなで強力して詐欺に立ち向かう

のです。それこそが詐欺に立ち向かう唯一の方法ではないでしょうか。