企業の内部保留が過去最高額になりました。
「どんだけお金を貯め込んでいるんだ」「がめつい」などと言った意見が
出てきても当然ですよね。貯め込むくらいなら「従業員の給料を上げてくれよ」
と思うのは誰しも同じです。
しかし、多くの人は内部保留というワードに惑わされて誤解しています。
内部保留のイメージは銀行の預貯金にどんどんお金が溜まっているのを
想像すると思いますが、実際にお金で保留している企業は稀なのです。
企業の利益の配分には2種類あり、ひとつは株主や従業員に還元する方法と
もうひとつが設備などに投資する方法です。後者が内部保留と呼ぶものです。
つまり、内部保留が多くなったということは設備投資に回す金額が増えたと
いうことです。
なぜ企業の多くは、ここまで投資にお金を回すのでしょうか?
それはリーマンショック級の大暴落の危機に備えるためと
日本の将来に不安を感じるからです。
企業が資本金を調達する方法には、株式の発行と銀行からの融資、自己資金の
3つがあります。このままデフレが変わらず不況のままでいると、株式の価値も
上がらず資金調達が難しくなります。また、頼りの銀行はリスク回避傾向が
強いので、回収が難しいと感じれば融資は不可能になります。そのため自動的に
自己資金しか選択肢がなくなります。だから、内部保留で資産を作ろうとするのです。
アベノミクスでは失業率の改善がみられ、景気の回復傾向が見られました。
これがあと10年も続けば、日本の経済は再浮上して世界と戦うこともできた
でしょう。しかし、安倍元首相は凶弾に倒れ、後継者は増税、増税で経済を
潰しにかかっています。この状態では日本の経済回復は難しく、デフレはまだまだ
続くことになります。この不安が経営者に貯め込むように仕向けるのです。
内部保留による設備投資が国内で行われれば、日本企業が開発や工事を請け負う
ことになり日本国内で回るお金も増えていきますが、実際は海外に投資することが
ほとんでです。海外に新しい工場を作ったり、株式などの投資をおこなっているのが
現状で、お金は海外に流出し続けています。
国際収支が黒字だ赤字だと話題になりますが、これは国が儲かっているとか
他国に勝ったということではありません。これも誤解が多いところです。
国際収支を求める公式を見ていきましょう。
経常収支+資本移転等収支-金融収支+誤差脱漏=0
金融収支とは海外投資のことで海外への資金流出を指します。
つまり、経常収支が黒字の場合は国内に回る資金が多いのです。逆に
赤字の場合は海外投資が盛んな場合なので、他国との競争ではありません。
2016年のデータではこの金融収支が26兆円を超え、大幅に赤字になっています。
この結果からも内部保留が増えている事実が伺えます。
内部保留というものに注目してみると、経営者の多くが日本の未来を悲観して
ただひたすら不況に耐えることで満身しています。これでは海外の企業に押されて
ますます日本は貧しい国になっていくでしょう。
この状況を打破できるのは政府と日銀だけです。
是非、自分の利益ばかりに固執しないで、日本の未来のためを考えて
ほしいと切に願っています。