どんな生活を送っている人が羨ましく思いますか?
愛する家族に囲まれて、お金や健康の心配もなく、趣味に興じたり、旅行にも
頻繁に出掛けている生活の人、つまり「ストレスのない」生活をしている人は
さぞ快適ではないのかと想像してしまいます。
また私たちの周りには、努力をせずに成功する方法や、生活が便利で楽になる
商品で溢れています。
我々は総じて苦痛を嫌がり、楽をしたがる生き物なので、ストレスを嫌ったり、
楽な方へと流されていきます。これは脳のエネルギーを節約するために大事なこと
なので、すべての人間に本来備わっている機能なのです。ですから、決して
自分は怠け者だと自己否定しないでください。
しかし、「幸せ」を基準に考えると、苦痛から逃れることは幸福からは遠ざかる
選択肢であることも多いのです。
私たちは労力を最小限にして楽したいと考えますが、実際にはこれまで払ってきた
コスト(時間・労力・お金)の総量が、幸福感を高める要因になっているとの
研究結果があります。心理学では努力のパラドックスといいます。
タイパ、コスパ重視の選択は、最初は幸福感を高めてくれますが、それが日常に
なってしまうと、快楽順応によって幸福を感じにくくなっていきます。
そのためキャンプに行き、敢えて不便な生活をしたり、自分で家具をDIYする人や
マラソンに挑戦するなど、苦痛の状態を意図的に作ることによって、日常との
振れ幅を作り出し、幸福感を得る人もいます。
また近年ではレジリエンスという言葉が世間では注目されてきています。
これは困難や脅威に直面しても、しなやかに乗り越える回復力を表す言葉です。
ドラゴンボールでサイヤ人が死の淵から回復すると戦闘能力が高まるように
人間も逆境に立たされると生物的に強くなるホルミシスという現象が出現します。
最たる例が運動です。運動では身体に負担がかかり、一時的にストレスホルモンが
放出されますが、長い目でみると、人をより健康にします。
つまり、細胞が傷つかないように保護するのではなく、傷ついてもレジリエンスを
利用して、回復することによって、さらに自分を強くできるのです。
1991年にアメリカで行われた実験で、温室という恵まれた環境で育った木は
急速に成長するけれど、すぐに枯れてしまうことがわかりました。世話や栄養が
足りなかったわけではなく、欠けていたのはストレスでした。具体的には風という
ストレスが木をたくましく育てることがわかったのです。
ストレスフリーの生活では人間も植物同様、すぐに枯れる(老化)して
しまうことになるでしょう。
このように私たちは常に楽な方へ、ストレスがない方へと、自然と進んでしまいます。
しかし、人間はそのままでは幸せになるようにはできておらず、充実した人生を
送るためには、適度なストレスを感じて自分を強くするよう意識して行動する
ことが大切なのです。
大事なことなので、もう一度いいますね。
毎日意識的に行動しましょう。
惰性で動いていませんか?
これからは、少しでも大変な方を選択して生きていきましょう。
長い目でみれば、あなたもスーパーサイヤ人になれるかもしれませんよ。