本当の自分とはなんだろう?
自分のことであってもわからないことが多い。
親に対する顔、友達に対する顔、上司に対する顔......
100面相並みに人によって顔が違うはずだ。
どれが本当の自分なのかわからなくて、疑心暗鬼になっている。
人間関係が人の悩みの大半なのは、このことをみても明らかでしょう。
さて、ここで「分人」という視点について話をします。
小説家の平野啓一郎先生が「私とは何か」という書籍の中で、語っている考え方です。
少しだけ引用してみます。
「分人とは何か?この新しい、個人よりも一回り小さな単位を導入するだけで、
世界の見え方は一変する。むしろ問題は、個人という大雑把さが、現代の私たちの
生活には、最早対応しきれなくなっていることである」
要約すると、「本当の自分と嘘の自分」という分け方ではなく、対人関係ごとに
見せる複数の顔がすべて「本当の自分」という考え方です。今は仮面をかぶっていて
本当の自分はまた別にあると思ってしまうと、ややこしいし、ストレスになって
しまいます。
多彩なキャラを演じ分けなくても、シンプルに相手に合わせて変わることが普通で
あるというわけです。嫌いな自分もその「分人」の一人でしかない。
そう思えば、自分を全否定しなくても済み、心の整理がつきやすくなります。
どんな自分も自分であって、唯一無二の尊い存在です。
人生とは自分探しの旅という流行り歌のフレーズがありましたが、私は違うと
思います。相手は自分を映す鏡のようなもので、そこに映る姿は相手次第です。
つまり、本当の自分を探しても、それは存在せず、たくさんの違った自分が
いるだけなのです。
人生とはどんな顔を持つ自分を、どれだけ探せるかという宝探しゲームのような
ものだということです。ですから、違う自分を発見したときは、戸惑わずに
ガッツポーズして喜びましょう。
それだけで気持ちが楽になり、人生を楽しく生きられるはずです。
さぁ、今日からゲームスタートです。