巷ではスマホの普及によりデジタルコンテンツが溢れています。
大量データを扱うため画像も圧縮、音楽も圧縮、また返信もスタンプ一個の
時代になりました。ちょこっと見たり、調べる分には圧縮データでも
問題ありませんが、それが本物であると勘違いしているのが問題です。
映画なら映画館、音楽ならCDやコンサート、写真や絵画なら写真集や美術館。
本物には本物の質感があり、デジタルとは異質なものなのです。
「人は食べたものによってできている」という格言があるように、ジャンクフード
を食べ続けていれば、体はジャンクフードで構成され、健康かどうかは
言うまでもありません。
同じように我々の脳や人格も「見たもの」「聴いたもの」「触れたもの」で
できています。本物まがいの偽物に触れ続けていれば、安っぽい人間に
なっていきます。つまり、感性に鈍感になるということです。
画像でナイアガラの滝を見てすごいと思っても、実際その場で見てみると
全く別物だと思うでしょう。雄大さ、地面を揺らす爆音、飛んでくる飛沫を感じると
体全体が反応して、心の奥に刻まれ、かけがえのない経験になります。
感性に敏感になるということは、同じものに触れたとき、得られるものが
多いということです。絵画を見て、漫然と「すごいな」と思って終わるのではなく、
「作者はどんな気持ちでこの絵を描いたのか?」「なぜこの色彩にしたのか?」
「この絵の背景にはどんな物語があるのか?」そんなことを想像しながら
見るのとでは得られる情報が桁違いです。その積み重ねによって考え方の
バリエーションが増え、いろんな角度から物事を見ることができるようになります。
それは人間性を向上させ、心や感情の豊かにすることでしょう。
スマホによって、いつでもどこでも芸術に触れる機会が増えました。
その一方で、本物に触れるチャンスが減ってきている気がします。
本格的に梅雨に入り出掛ける機会が減っていると思います。
是非この機会に芸術に触れに行きましょう。
ただ見るのではなく、思いを馳せるのですよ。