投資をしていない人にとって、投資の世界とは別世界のように感じられるでしょう。
しかし、実際投資をしている人にとっても別世界なのです。
モーガン・ハウセルが著書「富の法則」でも言っているように、ウォール街は
異質であり、まるで不思議の国のアリスのようであると。
我々は日常生活において常に行動しなければなりません。仕事や家事で常に動くのが
当たり前で、何もせずにダラダラ過ごすのは怠惰であると思われます。
しかし、投資の世界は何もしないことが重要なのです。せっかちに売買を繰り返すと
逆に手数料がかかり、複利の恩恵も得られず、資産は増えていきません。
一番投資成績のよい人を調べると、すでに亡くなっている人か投資をしていたことを
忘れている人でした。[Buy and Hold]ではなく「Buy and Forget」です。
また人間は未来を予測するのが苦手で、数日先の予定を組むことはできても、
何年も先の予定はわかりません。目標を立てて、それに向かって頑張るのが
いかに難しいことかは、皆さんよくご存じだと思います。
投資の世界では規則性はなく、投資家の心情のみで変化をしていきます。
これと言った法則がない投資の世界で唯一存在するのが、平均値回帰の法則です。
これは回数と時間が増えるに従って、物事は平均値に収束していく法則です。
投資を始めたばかりは上がり下がりの幅が激しく、マイナスに振れることも
多いですが、時間とともに平均値に収束して、プラスに転じるのです。
つまり、明日や来月は不明でも、20年、30年先は確実に予測できるのです。
最後は、民主主義の多数決世界で生きているのに、投資の世界は少数派が
決定権を持っていることです。こんなにたくさんの株式があるのに上昇に
関与するのは25%の銘柄に過ぎません。ネットでは著名な投資家や経済学者たちが
自分の主張を繰り広げるけれど、膨大な情報の中には真実は1%も含まれないこと
などが挙げられます。
投資の世界では何もせず、確実な遠い未来を見据えて、誰の意見も聞かないことが
成功する確率が高くなります。この錯誤が現実の世界で暮らす我々の脳を
バグらせるために失敗する人が後を絶ちません。住む世界が違うことを理解する、
もっと言うなら不思議の国のアリスの世界に迷い込んでいる認識を持つことです。
現実世界の常識は通用しません。
経済学者のジュレミー・シーゲルの研究でもあるように、株式は20年以上
保持するとマイナスはなく、すべてプラスに転じたということです。
現金や債券はインフレ調整により、マイナスになることもあります。
やはり株式を買うことが資産形成には最適だということです。
オルカンやS&P500を買って忘れてください。気づいたときには資産形成が
終わっていることでしょう。
たまに不思議な世界に迷い込むと、アリスやハートの女王がお迎えしてくれる
かもしれませんよ。